サービス残業が発生している背景

看護現場の問題としてよく挙がるのが、残業代未払い問題です。よくあるのが、自分の過失が原因で残業をしたため、請求できなくなるケースです。たとえば、就業時間中に何らかの失敗をしてしまい、その穴を埋めるために残業をしたとします。このような場合、人によっては「自分で蒔いた種」という見方をします。結果、正当な理由として残業代を請求しづらい状況となり、黙認したまま仕事をする形になってしまうのです。

本来であれば、労働者が残業をしたら、どんな理由があっても残業代を払うことが法律によって決められています。なぜならば、法律のもとの残業代とは、「法定労働時間を超過して労働した時間」というように定義付けられているからです。特に看護師の間でサービス残業が横行しているのは、労働時間外に行っていることを、本人と周囲が労働とみなしていないことに問題があります。就業前の勉強会や勤務時間外の研修などはよくありますが、これも本来労働時間としてカウントできるものです。

しかし、サービス残業が当たり前の現場であれば、「自分のスキルアップためにしてもらっているだから」という理由で、タイムカードに記録しないことが暗黙の了解となっているもの。さらに、そもそもそういった学びの時間が労働としてみなされることを知らない方が多い傾向にあるのです。こうした看護師のサービス残業問題はとても根が深く、病院によってはなかなか解決が難しいところもあります。

近年、世の中は国が掲げる「働き方改革」を機に、残業を少なくし、残業代の未払いもなくそうという動きが強くなってきています。実際に、こうした流れによって、内部の改革を進めている現場もあります。きちんと残業代管理ができている場所は増加傾向にあるため、どう動いても解消されないようなら、信頼できる雇用先に転職することを考えてみても良いかもしれません。